FROM ME TO YOU

oh my bizarre life !!

「宵山万華鏡」読了

宵山万華鏡 (集英社文庫)

宵山万華鏡 (集英社文庫)

森見登美彦はやっぱり森見登美彦だった。 もともとこの本は夜は短し〜や太陽の塔を買う時に一緒に買うつもりをしていたのですが、買う前に軽く立ち読みした時に「なんだか森見登美彦らしくないなぁ」と感じて買うのをやめたんですよね。夜は短し〜や四畳半のような軽快な語り口の物語ではなく、三人称形式の少し堅苦しい「普通の小説」になっていたことが少しショックでして。

ブランク明けの作品と聞いていたので、作風が変わったのかな、残念だな、とまで思っていたのです。今から思うと「どうして買っておかなかったんだ!」とその時の僕を叱咤したい気持ちでいっぱいです。 そうすれば祇園祭に行く前にこの本が読めたのに。そうすればこの間の祇園祭は一味も二味も違うものになっていたというのに。

今作も舞台は京都。タイトルの通り京都の祇園祭、その宵山を舞台にした少し不思議な物語です。 複数の短編を互いに絡ませつつ繰り広げられる物語の構成は圧巻の一言。

四畳半や夜は短しの登場人物や出来事も少し登場したりしてニヤリとしてしまいました。 僕も京都に住んでますので祇園祭には何度も行ったことがありますし、つい数週間前にも行ったところです。 森見氏のインタビューで「京都を舞台にしていると、物語の中で摩訶不思議なことが起きても“京都だったらあり得るかもしれない“と思ってしまうんですよ」と言っていたけれど、本当にそう。 絶対にあり得ないような出来事でも、祇園祭ならありえるかもしれないと思ってしまいました。 森見登美彦氏の作品のおかげでますます京都が好きになりました。

来年も祇園祭に行くでしょうし、その時はこの本を読んでから行くことにします。 屋台で万華鏡を買わないといけませんし、ね。