FROM ME TO YOU

oh my bizarre life !!

「四畳半タイムマシンブルース」を読了

水没したクーラーのリモコンを求めて昨日へGO! タイムトラベラーの自覚に欠ける悪友が勝手に過去を改変して世界は消滅の危機を迎える。そして、ひそかに想いを寄せる彼女がひた隠しにする秘密……。 森見登美彦の初期代表作のひとつでアニメ版にもファンが多い『四畳半神話大系』。ヨーロッパ企画の代表であり、アニメ版『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の脚本を担当した上田誠の舞台作品『サマータイムマシン・ブルース』。互いに信頼をよせる盟友たちの代表作がひとつになった、熱いコラボレーションが実現!

これは「森見登美彦夏への扉」だ。夏への扉は四畳半にあったのだーーー

途中まで読み進めて最初に抱いた感想が「森見登美彦夏への扉」でした。
もちろん「タイムマシンを利用したストーリー展開」「少しだけ恋愛要素」くらいしか共通点はないものの、全体的に感じる空気感はまさにジュブナイル。「時をかける少女」より「夏への扉」を先に連想したのは単に好みの問題かもしれませんが。

最近の森見作品は「熱帯」や「夜行」といったように「四畳半」や「夜は短し」のような作風ではなくなっていっていますが、久しぶりに往年の森見作品を楽しむことができました。

「四畳半神話体系」には4本の短編がパラレルワールドとして描かれていますが、これは5本目とも言えますし0本目とも言えると思います。タイムマシンをテーマにしたこの作品で0本目を仄めかすあたり、本当に上手いなぁと感動してしまいました。

ある程度この手のタイムリープ物を読んだことがある人なら自然と理解できる物語構成なので、難しく考えずにアニメを見ているかのように楽しむことができると思います。ちょうどアニメの2時間枠ボリュームなこともありますし、劇場アニメ化を期待したいところです。

読んでいて少し気になったのは明石さんや樋口先輩、小津といった主要キャラクターが少し大人しくなったような気がしました。
とはいえそれで面白さが損なわれるなんてことは全くなく、明石さんはますます可愛くなっていますし、樋口先輩はあいかわらずの樋口先輩でした。

tomio.hatenablog.com

筆者の森見登美彦氏も自分のブログの中で、自分が年齢を重ねたから…と書いていますが、ここ最近はまったく違う作風を続けている中で10何年前と変わらない四畳半を描けるのはさすがの一言です。

四畳半や夜は短しが好きな人には間違いなくオススメの一作だと思います。まだ読まれていない人はぜひ。

そういえば。

もう15年以上前になると思うのですが、昔から仲良くしている友人が「エアコンのリモコンが壊れた話の演劇を見にいった」と話していたのを思いだしました。まさかこの作品の原案のことだったとは。原案との違いも気になるところなので、またコロナが落ち着いたら感想を語り合いながらお酒を呑みにいきたいなと思います。

とりあえず映画版がアマプラで見られるようなのでウォッチリストに登録しておきました。ペンギンハイウェイも見ないと… www.amazon.co.jp