- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/04/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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”斧乃木余接とも、思えば長い付き合いになった”
老倉育に児童虐待の専門家に仕立て上げられた阿良々木暦は、家住准教授から相談を持ち掛けられる。 我が子を檻に入れたまま三日も家に帰っていないという。わけあって斧乃木余接と現場に急行した彼が、そこで見たものは。
これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!
物語シリーズ25冊目。大学生になった阿良々木君を描く「モンスターシーズン」の3冊目。最新刊の余物語を読了しました。
「だから部屋で檻に閉じ込めているあの子が、今どんなことになっているのか皆目見当がつかないの」という依頼から始まる、不思議で、辛くて、悲しい「家族」を描いた物語です。
前回の「宵物語」も家庭内虐待がメインテーマになっており、重たいテーマが続いているように思いましたが、考えてみると物語シリーズに登場する家庭は順風満帆な家庭はほとんど存在せず、ほぼ全てに問題を抱えている家庭環境なんですよね。
- 羽川家…もはや家族としてなりたっていない
- 八九寺(綱出)家…愛娘を事故で亡くす
- 神原家…両親を事故で亡くす
- 千石家…愛情という名の虐待に近い
- 老倉家…家庭内暴力からの崩壊済み
- その他の人々…みな天涯孤独の身
唯一、阿良々木家が家族全員揃ってはいるものの、いまだに阿良々木君と父親は不仲なようですし、順風満帆とは言いづらい家庭のようです。
物語シリーズ第一作目である「ひたぎクラブ」も母親の宗教への倒錯からくる家庭不和がきっかけですし、物語シリーズはある意味「家族」の物語なんだなと気付かされました。
今回の「余物語」も依頼者である「家住家」をめぐる家庭内の物語ですが、「宵物語」の「紅口家」に勝るとも劣らない、重くて暗くて怪異な物語でしたね。 読んでて少しつらくなる時もありました。
元々、愚物語以降は阿良々木君が吸血鬼に変化できないという制約があるので、「するがモンキー」や「つきひフェニックス」の時のようなバトルアクションは難しいですし、謎解きメインになるのも仕方のないところなのですが・・・
とはいえ、せっかくの「怪異」を取り扱う「物語シリーズ」なので、以前のようなバチバチの怪異譚も楽しみにしたいところです。(スーサイドマスターの登場回数が増えそうなのでそこは期待しています)
僕の愛しの羽川さんも登場したものの、高校卒業以降の羽川さんは「距離感」が以前とは異なるので僕も少し戸惑っているところ。ここはまだうまく言語化できていません。 結物語に繋がる伏線もいくつかあったので、そこは素直に楽しめましたね。
この「余物語」で西尾維新の刊行が99冊らしいです。 7月には100冊目が発売されるとのことで、どんな作品になるのか今から楽しみでなりません。