- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/11/16
- メディア: 単行本
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汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。 この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
なんだかんだと森見登美彦氏の作品は全部読んでる気がするぞ?ということで新刊の「熱帯」を読了しました。
最近の森見作品の集大成…という評もあるようですが、個人的には集大成というより、混ざりきってない印象がありました。 というのも、前半・中盤・後半で物語の体裁がガラッと変わるのですが、それぞれにこれまでの森見作品のカラーが出ていたのです。
- 前半:森見登美彦氏本人が登場するなど、「恋文の技術」のような昔ながらの森見作品風
- 中盤:「夜行」や「宵山万華鏡」のようなミステリアスホラーの要素あり
- 後半:千一夜物語をベースにした「ペンギンハイウェイ」や「聖なる怠け者の冒険」のような不思議物語
作品としては「現代の千夜一夜物語 」といってもいい、とても面白い作品だったのですが、前後半でまったく作品の風味(カラー)が異なっていることへの違和感が払拭できませんでした。 それも作品の味なのかもしれませんが…
もう少し読み込むと納得できるのかもしれませんし、少し時間をおいて再読してみたいと思います。