- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今日発売の物語シリーズ最新作にしてオフシーズン最終刊の「結物語」を早速読んでみました。
終物語よりも5年後、阿良々木君が大学を卒業したあとの物語です。
阿良々木君がキャリア警察官となり、人魚やゴーレム、狼女といった個性的な先輩達と難事件を解決していく・・・というぶっ飛んだ展開が特徴です。
戦場ヶ原や羽川翼、神原駿河といったいつものメンバーの5年後も描かれていて、中々楽しめました。
今回はスケールアップした羽川翼が登場する「みとめウルフ」が非常に気になったのでちょっと感想を書いてみたいと思います。
その他の作品についてはスルーします!(面白かったですよ!)
最初はボランティア活動やNGOに参加していた羽川はしだいに「戦争被害者の救済」から「戦争そのものをなくす」動きになっていく。
それは紛争していた国同士を停戦させ、講話させ、一つの国にしていく。国や組織といった既存の枠組みを消していく・・・といった活動をはじめたようです。
それは国や組織の権力者からすれば国際テロリストといっても過言ではない活動で、「世界平和活動家:ツバサ・ハネカワ」として世界中の危険人物として名前を轟かせているとか。
そのツバサ・ハネカワがとある理由で来日するのですが、アメリカ大統領並の護衛(監禁?)の目をかいくぐり、阿良々木君の家を訪れ、とある謎とメッセージを残していくーーーというストーリーです。
謎としては何重もの警護をかいくぐり、羽川はどうやって脱出したのか?という脱出トリックになるのですが、これはあっさりと「世界には自分とそっくりの人間が3人いる。世界を股に掛ける羽川ならコピーキャット(影武者)を用意することだってできるはずさ」と阿良々木君に見抜かれてしまいます。
脱出したわけでもなく、そっくりさんが別行動をとっていたというわけですね。
その実現性についてはスルーするとして、今回登場した羽川は本人だったのか、それとも偽物だったのかという謎が残ります。
- 本人は監禁されていて、阿良々木君の元に訪れたのは影武者
- 監禁されていたのが影武者で、阿良々木君と会ったのが本人
- そもそも二人とも影武者で本人は日本にきていなかった
今回、阿良々木君の元を訪れた羽川は素直に言って羽川らしくない。
羽川好きの僕をして「こんなの羽川じゃないよ!」と思ったくらいですから。
本人は監禁されていて、阿良々木君の元に訪れたのは影武者
物語のタテマエはこのパターンですね。阿良々木君も「羽川に伝えてほしかったんだ」と発言していますし。
監禁されていたのが影武者で、阿良々木君と会ったのが本人
警察官の先輩であり、羽川の護衛(監視?)を担当していた再崎みとめさんの発案。
阿良々木君と会いたかったのではないか。直接話したかったのではないかというパターン。
阿良々木君は一蹴してます。
そもそも二人とも影武者で本人は日本にきていなかった
「そっくりの人間は世界に”3人”いる」ということは両方影武者だったということも考えられます。
阿良々木君ももっとも望ましいと言っています。僕もこのパターンだと思っています。
最初は「監禁されていたのが影武者で、阿良々木君と会ったのが本人」だと思いたかったのです。
阿良々木君と会うのにどうして影武者なんだ?本人がくるだろう!と思っていました。
でも、あれが本人とは思いたくない。あんなこと言うのは羽川じゃない。
決め手になったのは最後の「影武者が会いにきたってことは、それはお前が軽く扱われたということじゃないのか?」という先輩の問いに対して、「世界を守ろうとしていることが一番大切で、今の僕は今の羽川にとってどうでもいい男になっているのが最高に幸せなんだ」という阿良々木君の台詞です。
ああ、そうか。羽川にとって”今”一番大切なことは”今”阿良々木君に会うことじゃないんだ。
でも別に会いたくないとか過去と決別したいわけじゃない。
ちゃんと今の自分の大切なことがわかってるんだなと。
影武者を向かわせた自分の気持ちも理解してもらえると思ったんだなと。
そう考えると気持ちが楽になりました。
これは生死郎との決闘前、戦場ヶ原と羽川の危機の前に、「わかってもらえると思う」と言った阿良々木君の考えにとても似ているんじゃないかなと思いました。
だから阿良々木君の「今の羽川にとってどうでもいい男になっているのが最高に幸せなんだ」は違うと思うのです。
今は平和活動が自分にとって一番大切なことで、でも阿良々木君にも会いたい。そんな気持ちだったんじゃないかなぁと。
羽川らしくない発言も、影武者だからそう言ったのではなく、阿良々木君に発破をかけるためだったのだと思います。(多少の本心はあったにせよ)
でもきっと羽川のことだから、わざと影武者と気付かれるようあんな隙を見せたんだろうなと思っています。
そうじゃないと阿良々木君が気付くわけないですしね!
いや、阿良々木君なら気付きそう・・・いやでも羽川のやることだから・・・いやいや、もう羽川は全盛期じゃないから・・・でも5年間の成長が・・・(以下無限ループ
と、考えはじめるとキリがないのでこのあたりにしておきますが、この5年後の物語は新シリーズとして続いていくようですね。
次巻の「忍物語」が楽しみです。業物語の例のあの人が出てくるらしいですし、今から読むのが楽しみでなりません。
ちょっとだけ疑問点
羽川は「高校のころずっと阿良々木君が好きだったんだよ」と阿良々木君に告白する衝撃のシーンがありましたが、猫物語白のラストで告白してたのは何だったんだろう。
「高校のころずっと(あの告白のあとも)」と解釈するか、「影武者に告白したことを伝えていない?」どちらも考えにくいです。
もう一度読んで考えてみることにします。