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oh my bizarre life !!

アーサー・C・クラーク 「幼年期の終わり」

幼年期の終り ハヤカワ文庫 SF (341)

幼年期の終り ハヤカワ文庫 SF (341)

地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。

クラークの作品は2001年宇宙の旅、2030年宇宙の旅に続いて3作目となります。

訳者あとがきにも同じようなことが書いてあったのですが、この作者は本当に「SF哲学作家」なのだなぁた実感しました。 もちろん他の作品も読んでみないとわからないのですが、現時点の感想です。

前半部は地球より何世代も進んだ科学力を持つ宇宙人が地球にやっていたというよくある鉄板ネタを描き、後半は人類の種の進化を描いていました。 宇宙人が地球文明に与える影響という意味ではホーガンの星を継ぐものシリーズといい比較になるかもしれません。 内容的には対極な感じですが…

また、ストーリー内容とは関係ないのですが、古典SFだと2014年現在で実現している技術が「未来の技術」として紹介されていることがままあります。 本作でも 低容量ピルと遺伝子検査が取り上げられていました。

その第一は確実な経口避妊薬の普及だった。そして第二は血液の精密分析によって子供の父親をつきとめる方法が諮問から身元を割り出すのと同じく絶対にまちがいのない方法として世に広まったことだった。 この二つの発明が人間社会に及ぼした影響は破壊的とすらいえるような大きなものだった。 清教徒的異常心理は痕跡も残さずに払拭されてしまった。

今の世の中でも実現している技術ですが、そういう結果になっていないのが面白いところですね。

他にも機械や産業のオートメーション化によって人類は労働から解放される…というのもよくあるパターンで、本作でもそう描かれていました。 本作が描かれた1953年よりも今の方がはるかに自動化が進んでいるにも関わらず、一向に労働から解放される様子はありませんよね(笑)

少し前に話題になったこの手のニュースの答えはそういうことなんだろうなぁと思っています。

2001年宇宙の旅シリーズもまだ2061年宇宙の旅、3001年終局への旅も残っていますので、クラーク作品を読み進めたいと思います。