- 作者: アルフレッド・ベスター,寺田克也,中田耕治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 文庫
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ルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』を読了。SF史上最高傑作との評価の通り、臨場感たっぷりの場面が目白押しでした。
難破した宇宙船の中で170日も取り残されている主人公ガリヴァー・フォイル。奇跡的に輸送艇「ヴォーガ」がフォイルに接近するものの、救助信号を発信し続けるが、ヴォーガはそのままノーマッド号を見捨てて飛び去ってしまう。紆余曲折を経て地球へ生還できたフォイルはヴォーガとヴォーガの乗組員、そしてヴォーガに関する全てへ復讐を開始する—-
正直な感想としては、登場人物の心情の変化が唐突かつ大きすぎたせいか物語の根幹を成す主人公がヴォーガを憎む心に感情移入できず、ついていけない部分が多々ありました。 きっとその部分を読んだ時に集中力が切れていたとかそういう外部的な要因なのでしょうけど、そうでなかったらもっと感情移入できて素晴らしい作品になったに違いないと思うと非常に残念です。
しかしながら300ページあまりの物語に詰め込まれた様々なシーンは息苦しくなるほどの臨場感があり、特に中盤から後半にかけての主人公フォイルと追跡者たちとのジョウントと呼ばれるテレポーテーションを使った追跡劇は圧巻です。
読んでいる自分が世界中をテレポーテーションしているかのような臨場感がありました。イメージとしては2008年に公開されたジャンパー(映画)のようです。 というよりジャンパーはこの作品に影響されてる気がしますね。 実際、ジョウントはその後の様々な作品に影響を与えたらしいく、スティーブンキングや藤田和日郎、仮面ライダーカブトなどなど。詳しくはWikipedia:ジョウント効果
を参照してみると面白いかもしれません。
読み終わった直後はありふれた話だったな程度にしか感じませんでしたが、読後しばらくはこの作品のことばかり考えている自分がいてびっくりしました。
しばらく時間を置いて、もう一度読みたいと思います。